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米国の債務上限問題が及ぼすソブリン格付け&米ドルへの影響|香港保険・オフショア投資情報

2023.05.17

金融情報

米国の債務上限問題が及ぼすソブリン格付け&米ドルへの影響

米国では政府の債務上限引き上げ期限が早ければ6月1日に迫っており、金融市場の警戒感が高まっています。

政府の支出が収入を上回った場合、政府は国債等を発行して資金を借入れます。米国の債務上限とは、財政規律を守るために、政府が国債等を発行して調達できる債務の金額の上限です。

債務上限に達するか近づくと、政府が債務を履行するための資金が不足し、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性があります。

この問題に対処するためには、議会は債務上限を引き上げたり、停止したりする法案を可決しなければなりません。債務上限の引き上げには、上下両院の承認が必要となりますが、支出の優先順位や財政責任に関する両者の見解が異なるため、激しく対立しています。

米国の債務上限問題は注目を集め、市場の不確実性を生み出しています。議会が債務上限の引き上げに応じなかった場合、米国経済や世界の金融市場に大きなダメージを及ぼすことは必至です。

仮に債務上限を引き上げた場合、他の条件がすべて同じであれば、ソブリン格付けと米ドルの強さに影響を与える可能性があります:

ソブリン信用格付けは、その国の債務管理能力と債務履行能力を反映します。債務上限を引き上げれば借入の継続が可能になるが、引き上げが信用格付け機関によって否定的に捉えられた場合、格下げにつながる可能性があります。格下げは債務返済能力の低下を示唆し、結果として借入コストの上昇を招きます。

米ドルの強さは、経済の基盤、金利、市場心理、世界の需要に影響されます。債務上限を引き上げるだけでは、米ドルの価値に直接影響を与えることはありません。しかし、それに伴う債務の増加は、政府の財政に対する懸念を引き起こし、投資家の信頼と安定した見方に影響を与えます。米ドルに対する信頼が失われれば、通貨安になる可能性があります。債務上限以外の要因も米ドル高に影響します。

これらの影響は決定的なものではなく、経済状況、市場心理、その他の要因によって変化する可能性があることに留意することが重要です。格付け機関、金融市場、投資家の違いにより、政府の債務管理およびそれが信用格付けや米ドルに与える影響に対する認識が異なる場合があります。

 

 

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